働き方改革で注目されるテレワークとは?なぜ今テレワークなのか?

 

官民を挙げて取り組みが活性化している働き方改革。その一つとして、勤務時間や場所を選ばない多様な働き方を実現する「テレワーク」が近年注目を浴びています。企業の人手不足の解消、ワークライフバランスの向上、生産性の向上、地方創生、グローバル化への対応など、様々な効果が期待されているテレワークについて、ここではその概要とテレワーク導入が推進されている背景について紹介します。

 

テレワークとは?

テレワークとは、以下のように定義されています。

「ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活躍できる柔軟な働き方」 (出典:総務省)

具体的にはオフィス以外の離れた場所から勤務する状態を指し、例えば自宅や外出先からパソコンやスマートフォン、タブレットなどのITツールを活用し仕事を行うことを総じてテレワークと呼びます。

テレワークの種類

「テレワーク」と言えば在宅勤務という働き方をイメージされる場合が多いですが、テレワークには働く場所によって主に3つの種類があります。

1 在宅勤務

オフィスではなく自宅を就業場所として業務に従事する働き方です。業務はパソコンやスマートフォン、タブレットなどを使って行います。

怪我や病気、障がいなどの身体的理由や、育児介護などの家庭の事情による時間的制約によって通勤が困難とされている場合に、自宅から就業できることで離職の抑止・多様な人材の確保へと繋がると期待されています。

2 サテライトオフィス勤務

施設利用型勤務とも呼ばれ、自社または複数の企業や個人が利用する共同オフィスやサテライトオフィスなどのワークスペースを就業場所として業務を行います。

都市企業は郊外エリアに、地方企業は都心部にサテライトオフィスを設置することで主に通勤負担の軽減や地域との連携、生産性及び効率の向上などを目的として導入されています。

3 モバイルワーク

モバイルワークとは顧客先や移動中のカフェなどの予め決められた勤務場所以外でパソコンやスマートフォン、タブレットなどを使って業務を行う働き方です。

主に営業などの外勤や外回りの多い職種で活用され移動時間の短縮、営業効率の向上が期待されています。

 

なぜテレワークが注目されているのか

 

テレワークは、政府が推進する働き方改革の一つとして積極的な導入が促されています。
平成28年度よりテレワーク推進に向け総務省・厚生労働省・経済産業省・国土交通省から成る関係府省連絡会議を開催、内閣官房・内閣府とも連携し政府目標を設定する等、国を挙げてテレワーク普及促進へ取り組まれています。

なぜ、これほどまでにテレワークを推進する必要があるのでしょうか。

 

その背景には日本が抱えるある深刻な社会問題が存在しています。

 

少子高齢化による労働人口の減少

テレワーク普及推進の背景には少子高齢化による社会問題が深く関係しています。

日本の人口は今後さらに減少していくことが想定されていますが、実は労働人口は2016年から2017年にかけて増加しており今後も増加傾向にあると予想されています。しかし、その要因は女性と高齢者層による労働参加の増加による影響が大きいと発表されており、働き手とされている若い世代の人口減少は顕著であり企業の人手不足はより一層深刻化してくことが明らかです。(参照:平成29年版厚生労働白書

そのため、テレワークによる時間と場所を選ばない柔軟な働き方を普及促進させ、
これまで働くことが難しいとされていた障がいや病気などの身体的制限のために通勤困難であった人たちの雇用創出や、
育児や介護などの様々な家庭の事情を抱える人たちの家庭と仕事を両立させる仕組みを作ることで、人材確保・離職抑止へ効果を上げることが期待されているのです。

 

生産性向上の必要性

日本の労働生産性は2000年代以降伸び悩んでいる状態が続いており、主要先進7ヵ国では最下位となっています。グローバル化によって急速に変化を続ける世界経済において日本の競争力を高めるためには、国を挙げた生産性向上が不可欠と言えます。
また、国内だけをみても人手不足によってひとりの従業員が抱える業務は必然と増加するため、企業の生産性向上への対応はもはや避けることのできない急務の課題の一つと言えます。

そこで時間と場所を選ばないテレワークを導入することにより、下記のような生産性向上のための効果が得られると期待されています。
・通勤や移動時間の有効活用
・移動費やオフィスコストの削減
・業務の見直しによるムダな業務の削減、作業の効率化、時間の創出
・時間管理能力の向上など

2020年東京五輪による交通機関の麻痺、通勤混雑の緩和

また、2020年開催の東京オリンピックもテレワークが注目される理由の一つとなっています。
首都圏を中心にエリアによっては通常よりも約3倍も移動に時間が掛かることや、大会期間中は観光客の増加、混雑の影響で通勤時間帯以外の混雑も予想されています。(出典:東京オリンピック・パラリンピック準備局
首都圏エリアの交通機関の乱れや出勤困難者の増加等の影響により、首都圏以外の企業もまた打撃を受ける可能性は大いにあるでしょう。

そのため東京都を中心に様々な行政機関によって企業へテレワークの導入を積極的に呼び掛けています。

 

まとめ

ICTを利用したテレワークは時間や場所を選ばない新しい働き方であり、その普及によって個人の多様な働き方が実現するだけではなく、生産性の向上や人材確保、地方創生など、企業そして日本社会が抱える様々な問題の解決へ貢献することが期待されている。

生産性を向上させることで需給できる助成金やテレワーク導入によって受給できる助成金など、
働き方改革に取り組む企業のための助成金や補助金が増えている今こそ、テレワーク導入の最良のタイミングであると言えるでしょう。